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セキュリティ確保の観点から見た文書の電子保存について

4月より施行されたe-文書法により、領収書、契約書、請求書、送り状など多くの文書・帳票の電子保存が認められています。これにより、業務はどう変わるのか? プロセス、コストとセキュリティ確保の観点からインタビューしました。

織岡一夫 日立システム執行役
プロダクトソリューション事業部長
織岡一夫

e-文書法で変わるビジネスプロセス

―4月より施行された、e-文書法について改めて概要を教えてください。

「これは正式名称を『民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律』、及び『民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律』といい、税務帳票など紙で保管が必要とされてきた文書を電子保存してもいいというものです。」

―文書の電子保存はこれまでも企業で行われてきました。

「はい。まず、1998年にいわゆる電子帳簿保存法が施行されて、電子計算機で作成された国税関係の帳簿書類の特例が定められました。今まで紙で保管されていた文書を電子文書で作成して保存していいことになったのですが、保存できる文書の範囲には制約があり、電子化して保存しても、紙の原本も保存しておかなければならないものがありました。今回のe-文書法ではかなり規制緩和され、電子保存できる文書の範囲が広がり、電子化して保存したら原本は廃棄しても良いという範囲が広がりました。」

―つまり、ポイントは「電子保存できる対象範囲が広がった」「原本廃棄が可能になった」という2点だと。

「そうですね。これは経団連が試算したものなんですが、日本全体で3000億円分ぐらいの文書保存コストが掛かっているとされています。紙で保存していることの経費は大きいものがあるので、私もそれぐらいの省コスト効果はあるのではないかと思います。」

―電子保存できる文書の幅が広がったということですが、具体的にはどういう文書が対象になりますか。

「一般企業ですと、従来は認められていなかった領収書や契約書、これらについては3万円未満という制約があります。そのほかに、請求書、見積書、注文書、納品書、契約申込書、株主総会の議事録、送り状などがあります。企業活動で発生するほとんどの文書が対象になっています。また保険会社では保険契約書、銀行では入出金伝票や金融庁監督書類、医療業界ではカルテや処方箋などが対象です。こうした日々の業務で大量に発生する文書が、電子保存すれば原本は不要になるというところが画期的ですね。」

―業務プロセスの面では...。

「企業の仕事のやり方が変わってくると思います。文書は紙で原本を保存することが基本だったのが、文書を電子化したら、原本は処理するというのが新しいビジネスプロセスになってくるであろうと。電子化する際にOCR(Optical Character Reader)で文字データを読み取ってデジタル化すれば、データの再利用も進むでしょう。つまり、仕事のやり方が根本的に変わると考えます。かなりの文書を電子保存に統合できるという点が、コスト削減にもビジネスプロセスにも大きく作用すると思います。」

セキュリティ確保の観点からも文書の電子保存は最適なソリューション

―もう一つ、電子保存することで得られる大きな効果があると聞きましたが。

「セキュリティの確保です。文書というのは個人情報を扱うことも多いので、紙で職場に置いておくのは大変危険です。紙ですと閲覧もしやすいですし、コピーも簡単です。個人情報保護の観点からも、文書の電子保存というのは、より情報を厳密に保護できるという点で、企業にとって大きなメリットがあると思います。」

―文書をデジタル情報として管理する方が、セキュリティを確保できるというのはどういうことでしょう。

「対象となる紙の文書を見るのが一人、というなら紙でも問題ありません。しかし、複数の人が閲覧する場合は、一枚の紙では無理がありますからどうしても複写することになります。そうやって複写物が増えることで、閲覧の対象でない人の目に触れる危険性が増え、それをコントロールすることもできません。

―なるほど。

「その点、電子保存であれば、セキュリティ・ポリシーをきちんと考えるという大前提はありますが、セキュリティをコントロールしやすい。例えば、ある文書へのアクセスをコントロールする、またアクセスを許された人でも使った履歴を残す、つまり、誰がどういう操作をしたか、全部ログを残すということが可能になります。万が一、漏えいしたとしても、後から調べればどこで何が漏洩したかが容易にわかるようになります。」

―文書を持ち出せないような工夫も可能ですか。

「文書の画面への表示は許しても、画面のハードコピーを取る、印刷する、クライアントPCや媒体に名前を変えて保存する、メールに添付して送る、そういうこともガードすることができます。さらに、文書を暗号化して保存しておけば、見るときは複合化されるけれども、見終わって閉じたらまた暗号化されて平文のままでは残らない。そういうことも可能です。紙のままでは難しかった情報の保護が、電子保存という形を取ることで初めて厳密に行えるようになるんです。」

―e-文書法に対応するための必要要件として、真実性、見読性、機密性、保存性という4つのポイントを挙げられていますが。

「われわれが提供するセキュリティソリューションでは、機密性が一番重要なポイントだと考えています。文書というものはきちんと機密を保って、関係ない人には読ませない、よけいな印刷や複写ができない、そういうことにしていかないとセキュリティを保てません。必須ではないといわれていますが、これが実現できないようでは企業活動としては万全ではないと考えています。」

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