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IT最前線!うわさのセカンドライフとは?(前編)

 ネットワーク上の3D仮想空間「セカンドライフ」が注目されています。すでに数百万人が参加し、大手の企業の参入も進む一方で、気になるのは仮想世界の中の犯罪やマナーなどの側面。仮想空間の中に「自由」を実現したセカンドライフの世界で、セキュリティの問題はどうなっているのでしょうか。そこで今回は、米国サンフランシスコ市内にあるリンデン・ラボ社のヴァイスプレジデント ジンス・ユーン氏を訪ね、お話をうかがいました。

米国リンデン・ラボ社 ジンス・ユーン氏


米国リンデン・ラボ社
ヴァイスプレジデント
ジンス・ユーン氏

セカンドライフの自由と統制

★セカンドライフは、簡単にいうとどのようなもので、何を目的に作られたのでしょうか。

―セカンドライフとは、インターネット上でコミュニケーションを行うための、新しいプラットフォーム(基盤)です。3D環境でコミュニティ経験ができ、そこにエンターテイメントとレジャーの側面も加わります。ユーザは、アバターという分身を使って、メタバースという仮想世界を自由に行動できます。バーチャルな土地を購入して、豊富に用意されているツールを使い、ほかのアバターと交流することが可能です。従来のオンラインゲームやコミュニティと違うのは、「何をするか」という行為の目的そのものが、ユーザに委ねられていることです。利用する目的も方法もユーザの自由です。企業の場合はマーケティング、顧客との関係構築、社内会議、完全に新しい事業のインキュベーション(新規事業の設立支援)など、いろいろあるでしょう。 リンデン・ラボでは、何か特定のサービスを売り込もうとしているわけではありません。「新しい技術の導入」と「プラットフォームの提供」を行うこと、これが私たちの事業だと考えています。

リンデン・ラボ社

★完全に自由な仮想社会のためには、ルールも重要になってきますね。

―もちろん仮想世界の中では、問題も生じます。私たちは成人向けのコンテンツも含めて、とくに規制はしていないからです。 ただ現実の世界と同じく、「コミュニティ標準」として「ビッグ6」と呼ぶルールを定めています。「人種や宗教、性別などへの差別行為」(Intolerance)、「脅迫やセクハラ」(Harassment)、「非戦闘エリアでの攻撃行為」(Assault)、「公開されていない個人情報の暴露行為」(Disclosure) 、「アダルト表現が制限されているエリアでのわいせつ行為」(Indecency)、「スパム送信、妨害など治安妨害」(Disturbing the peace)、こうした行為についてはメールなどでの通達があると、対象者を取り締まります。


★子どもたちが使うことも考えると、こうしたルールは必要ですよね。

―おっしゃるとおりです。ルールの実際の運用については、「運用と警備」(Policies and Policing)に定めています。たとえば、セカンドライフ内の各地域は、安全(Safe)か危険(Unsafe)と表示されていて、成人向け(M-Muture)か非成人(PG-Parental Guidance)で制限されています。 ただこうしたルールを過剰に適用することを、リンデン・ラボは求めているわけではありません。私たちが実現したかったものは、仮想社会の中での完全な自由な空間なのです。その発想のルーツは、私たちの会社がある、ここサンフランシスコにあります。西海岸の風土は自由そのもので、さまざまな人が訪れ、文化や技術、芸術が生まれてきました。私たちが目指しているのもそういう世界なのです。


★セカンドライフでは、リンデンドル(Linden $)という仮想通貨があって、買い物ができますよね。そうなると、リンデン・ラボは通貨、法律、土地を所有しているのですから、一種の国家のような存在といえるのではないでしょうか。

―私たちはプラットフォームを提供するだけで、そこで行われる行為に介入することはまったくありません。 たとえば企業が土地を購入したら、その土地の運営は各オーナーに任されます。それぞれのオーナーの自治が機能しています。多様な人々が他人に迷惑をかけることなく、交流しあうことを目的としています。「統制と自由」のバランスが重要だと考えています。

セカンドライフのセキュリティ

★リンデンドルは、現実社会のお金に換えることができるとか。実際会社で働くよりも、セカンドライフ内で行うビジネスの方が、収入が多い、という人が出てくる可能性もあるでしょうね。

―リンデンドルは、セカンドライフ内で決済を行うためのシステムです。クレジットカードも使えますし、おっしゃったように実際のお金に換金できることが大きな特色です。これまでも、インターネット上でのポイント制のようなものはありましたが、リンデンドルは、リンデン・ラボ自体がお金との交換を保証しています。 こうして、セカンドライフ内でのビジネスが可能になるわけです。土地を買ったり、「モノ」を作ったりして生み出した「価値」が、お金という現実の価値に結びつくことになります。

★仮想通貨を実際の通貨に換金する「リアル・マネー・トレード(RMT)」も盛んです。このお金のやりとりで、個人が被害にあったりすることはないのでしょうか。

―セカンドライフへのサーバ攻撃やスパム攻撃を防ぐために、新しいシステムを構築してきました。リンデンドルの犯罪については、プログラムを使った不正が発生していることも事実です。こうした問題については、現実社会の法に照らし合わせて、徹底的に究明していきます。その土地の管理者がしっかり治安を維持していることが重要です。 また怪しいアバターの人物との接触を避けたり、不正なオブジェクトを入手しないという注意は重要です。これは現実世界でも同じことですよね。

セカンドライフのルールとは

★セカンドライフのコミュニティが発展するにつれ、法律にかかわるような問題も生じてきますね。現実世界と仮想世界のギャップが法的問題に発展した場合、どのような姿勢で対応されますか?

セカンドライフ

―まず、セカンドライフと現実世界にギャップが生じるとは思いません。セカンドライフの住人は、全員がリアルな世界で生きています。誰もがリアルな世界で適用される法律には従わなければなりません、これは原則です。 確かにインターネットは、多くの物事を変えました。しかし、リアルな社会とは別に切り離された「インターネット法」が生じたでしょうか? そんなことはありませんよね。法律はあくまで、現実社会の法で適用されるのです。 基本的な人間社会やコミュニケーションについていえば、セカンドライフができたからといって、新しい法が必要とは考えません。もちろん、法律の専門家は今後もこの問題には取り組んでいくでしょう。 ネット社会の進展は、未知の事態を招くでしょう。そしてその都度、新しい法律の必要が叫ばれるかもしれません。しかし、すでに多くの法律があり、当たり前ですが、特別な例外はなく、私たちの現実の行動のすべてに適用されます。現実社会の法律を尊重して、そのルールに従って仮想社会を運営していくべきだと考えています。

後編は9月中旬公開予定です


※この記事のインタビューは2007年3月に行われました。

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2007年9月11日
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