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チェーンメール(日記)拡散のメカニズムについて

チェーンメールは、不特定多数のインターネットユーザーの間を増殖しながら転送されていく電子メールの総称だ。

善意に基づくものがチェーンメール化することもあるが、この種のメールを転送するとネットワークに無用な負荷をかけ、また、誤った情報が流布される可能性もあるため、基本的には「転送しない」ことがネット利用者のマナーであるとされている。

だが、こうしたチェーンメールは後を絶たない。今年の6月には、SNSのmixi上で、「mixiでウイルスが広まっている」という内容の日記がチェーンメール化して広がるという事件(→引用記事)が起きた。


日記の内容は“嘘”にもかかわらず…

上記引用記事によると、チェーン日記拡散の概要は以下の通りである。

(1)チェーン日記の発生元とみられるユーザーは、mixiの脆弱性をついたプログラムを作成・公開していた。
(2)このプログラムは、特定のURLをクリックすると自動的に「ぼくはまちちゃん!」というタイトルで日記をアップさせるものであった。
(3)さらに、当該ユーザーは、【緊急】【ご注意!】などというタイトルで、このプログラムをウイルスとして紹介し、「なるべく多くの人(マイミク)に注意喚起をしてください」という内容の日記を投稿する。
(4)日記の内容は、本人曰く“ネタ”で、また、上記脆弱性についてはmixi側で修正しており、問題を生じさせるものではなかった。
(5)だが、日記の内容を信じたユーザーが次々と日記をアップさせたことにより、当該日記がmixi内を増殖しながら転送されていく騒動となった。

もちろん、まず第一に、面白半分に偽の情報を発信して不特定多数のユーザーを混乱させることが良くない行為であることは明白である。

しかし、一方で、こうした情報に接したユーザーは、なぜ内容の真偽を見抜けずにチェーン化の片棒を担ぐことになってしまったのだろうか。


知人の発言は「真実である」と信じ込みやすい!?

チェーン日記の伝播のメカニズムについて興味深い記事があったので引用してみる。

Web2.0時代の“脆弱性”――mixiチェーン日記はなぜ広まったか(ITmedia)

国立情報学研究所助手で、SNSに詳しい大向一輝さんは、チェーン日記を「口コミの一種」とし、口コミの伝播力は「情報の伝達経路とトピックの誘因力――ユーザについ日記を書かせてしまう力――に依存する」と指摘する。

チェーン日記が拡散した要因は以下の2点だというのだ。

(1)情報の伝播経路
(2)トピックの誘因力

今回の事件に照らし合わせると、(1)については、情報が「マイミク」という知人経由で広まった点である。「知人の発言であれば、赤の他人よりも、情報を真実だと思いやすい」という心理が働いたという指摘である。

(2)については、「mixiの脆弱性」という情報内容である。ユーザーの関心、興味を引きやすいテーマである場合、その情報は拡散しやすいということである。

このように、今回のチェーン日記拡散の問題をみると、どうやらこれはmixi内だけに限った話ではないことがわかる。

一つには、こうしたネット上の不正行為は、ユーザーの心理を巧みにつく手口が用いられる点である。実際に世間の関心を集めたニュースを口実としたメールを不特定多数のユーザーに配信し、添付ファイルにそのニュースの詳細があると思わせ、メール受信者に悪質なファイルを開かせる、Storm Wormのようなマルウエアの存在は、今回のチェーン日記拡散と、メカニズムの上で共通点があるように思われる。

もう一つ大事なことは、ユーザーのリテラシー向上というか、啓蒙活動の重要性である。ネットがまだ一部の人のものであった時代は、「チェーンメールは無視し、転送しない」ということは、当然のマナーであり、エチケットであった。

しかし、インターネットが当たり前のインフラとなり、SNSなどの各種サービスはユーザーにとって当たり前のものとなりつつある今では、ネットリテラシーのそれほど高くない人も、当然ながら数多く参加しているはずだ。

各種メディアは、今後もネットユーザーに対する注意喚起を継続して行う必要がある。そして、ユーザー側は、常にセキュリティ関連の情報に関心を持つことが大事である。

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