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著作権法30条の適用範囲見直し?いわゆる「ダウンロード違法化」について

文部科学大臣と文化庁長官の諮問機関「文化審議会著作権分科会」の「私的録音録画小委員会」において、この10月、著作権法30条における「私的使用」の適用範囲を見直す骨子案がおおむね了承された。

この「私的使用」の適用範囲の論点は以下の2点。いわゆる「iPod課金」と「ダウンロード違法化」である。

(1)iPodに代表される記録媒体内蔵の一体型機器への録音録画補償金の課金
(2)違法録音・録画物のネットからのダウンロードを、「私的利用」の適用範囲から除外し違法とする

上記骨子案では、著作権法30条の適用範囲の見直しのうち、(1)iPod課金は見送られることとなり、(2)ダウンロード違法化は了承されることが確認されたのである。

ダウンロード違法化を盛り込んだ著作権法改正案については、来年の通常国会提出を目指しているということだが、ここではダウンロード違法化のポイントについて紹介していきたいと思う。


違法ファイルのダウンロードも違法に

ダウンロード違法化のポイントについては以下が詳しい。

「ダウンロード違法化」ほぼ決定 その背景と問題点(ITmedia)

著作権法では、著作権者の許可なく著作物(動画や音声ファイルなど)をインターネット上にアップロードすることは「送信可能化」の権利侵害として違法行為とされてきた。

一方、Webサーバーからユーザーが当該ファイルをダウンロードする行為についてはどうか。

ダウンロードという行為は著作権法上、「著作物の複製(コピー)」に該当する。著作権法では、著作物の複製について「私的使用」の範囲を認めてきた。

つまり、「個人的に、家庭内やそれに準じる限られた範囲内で」限定的に使用する場合に限り、著作権者に許諾を得ずにファイルをコピーすることは合法とされてきたのである(著作権法30条)。

(なお、私的複製の例外となる違法行為についても定めがあるが割愛する)

「私的録音録画小委員会」では、著作権者の許諾を得ずにWebサーバーにアップロードされた音声、動画ファイルのダウンロードを「私的使用」の範囲から外すことを検討してきた。

そして、2007年12月の会合で違法ファイルのダウンロードを「私的使用」の範囲から外す方針をほぼ固め、この10月の会合にてこの方針が決定されたのである。


「情を知って」ダウンロード違法化の4つのポイント

「私的録音録画小委員会」では、ユーザーが混乱しないように実際の運用においていくつかの条件を設定している。というのも、ユーザーは、ネット上で動画や音楽を視聴する際、自分がダウンロードしようとしているファイルが違法かどうかを判断する術を持たないからだ。

一つは、「情を知って」という点。今回の適用範囲見直しでは「ユーザーが、違法なファイルと知ってダウンロードした場合」のみを違法としている。

二つ目は、対象となるファイルの種類が、著作物全般でなく録音録画、つまり音楽ファイルやテレビ、映画などに限定される点である。

三つ目は、データをユーザーのPC側に保存せずに視聴するストリーミング行為は対象外である点だ。

そして四つ目が、違法ファイルのダウンロードは違法行為ではあるが罰則の適用がなく、刑事罰には問われないという点である。

もちろん、刑事罰はなくても権利者側が民事訴訟でユーザーに損害賠償を請求することは可能だ。しかし、実際の訴訟に際しては、立証責任は権利者側にある。

違法行為ではあるので刑事ではない民事訴訟の対象にはなり得る。ただ、現実的には権利者側が利用者が「情を知ってダウンロードしていた」ことを証明するのはかなり難しく、現実的にはいきなり民事訴訟を提起されるということは考えにくい。

上記記事より、ダウンロード違法化のポイントを箇条書きにすると以下のようになる

(1)「違法なファイル」と知らない状態でダウンロードしても責任を問われない
(2)違法ファイルであっても音楽と動画以外(画像やプログラム、テキストなど)はダウンロードしても責任を問われない
(3)違法とされるのはダウンロードのみでストリーミング視聴は合法
(4)違反行為に対しては罰則規定がない

このように、現時点ではあくまで規範的なものになる見込みという。

ダウンロード違法化が正式に法制化されれば、音楽業界や映像業界は違法なファイルのダウンロードが違法行為である旨、宣伝することができる。これにより、違法ファイルのダウンロード行為を抑止する効果が期待されている。

一方で、違法なコンテンツの流通を解決するためには、正規コンテンツを適法に、適正な価格でユーザーに流通させる仕組みが必要だろう。

(1)コンテンツ流通のためのインフラ
(2)認証や著作権処理、課金・決済といったプラットフォーム
(3)コンテンツそのものやアプリケーション、ビジネスモデル

といった3つの要素(レイヤー)が有機的に連動する仕組みを構築しなければならないし、そのためには現行法の改正や新法制定も視野に入れる必要があるかも知れない。

従来の著作権ビジネスは、コンテンツの利用を制限し、保護するという考え方で成り立ってきた。インターネットの活用により、さらなるコンテンツ価値の創造やコンテンツ流通の促進がもたらされ、ユーザーと著作権者双方にとってメリットのある仕組みを模索していかなければならない。

今後のネットと著作権にまつわる議論の推移を見守りたい。

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