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福田浩至氏に聞く「安心で効果的なソーシャルメディアとのつきあい方」(前編)(3/3)

「他人事から自分事へ変化」するとブランドの好感度は高まる

★ソーシャルメディアを上手に活用している事例があれば教えてください。

 私が講演などでよく紹介させていただくのが、全日本空輸株式会社(ANA)のFacebookページですね。「いいね」が約74万人も集まっていて、Facebookページの運営としてはある種のスタンダードという認識です。社員や業務の紹介、なんといっても旅行に関わる会社なので、風景写真など目を引くリッチなコンテンツが特徴です。

また、実際に収益につなげている点では、株式会社良品計画の「くらしの良品研究所」ですね。10年以上継続している取り組みですが、最近、Facebookと連携しました。これは、商品開発のプロセスを公開し、それに対するユーザーの声を拾い上げ、商品にフィードバックしていくという独自のコミュニティです。

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★なるほど。ユーザー自身が「自分が関わっている」感じが特徴なのですね。

 そうですね。「他人事から自分事へ変化するとブランドの好感度が高まる」などと言いますが、Twitterなどでもファンとの絆を大事にした事例があります。ミュージシャンの西川貴教さんとミゲル ゲレイロくんのコラボCMを作ったエステー株式会社(エステー)の事例です。これは「消臭力」シリーズのCMで独唱するミゲルくんの歌声に感銘を受けた西川さんが、ライブ会場で歌をコピーし、それをTwitter経由で知ったエステーが実際にCMでの両者の共演をオファーするというものでした。これは、西川さんがTwitterでファンとの絆を持っていなければ、また、エステーもTwitterでファンとコミュニケーションしていなければ実現しなかったと思います。

★では、「自分事」という観点でお伺いします。「節電」などの身近なテーマをソーシャルメディアに結びつけた事例があれば教えて下さい。

 一番大きな事例は、デモだと思います。従来のデモは、どちらかというと組織の看板を背負って集団行動を起こすという側面があったと思いますが、現在のデモは、Twitterを通じて個人個人が自分の意志で参加しているところが一番大きな特徴だと思います。デモ自体の賛否はともかく、ソーシャルメディアが大きな役割を果たしていることは間違いありません。

★ソーシャルメディアは、生活者の意識の中に無視できない大きな影響力を持ちつつあるのですね。

 たとえば何かの賛同を集めるときに、今までは街頭で署名を集めたりしたわけですが、同じような行為が、住んでいる場所や時間を超えて、簡単にできる仕組みが整いつつあるということだと思います。技術革新という意味では、その昔、仕事で意思の疎通を行うためには、手紙をかくか、電話をかけるしか手段がありませんでした。それが今では電子メールは仕事のツールとして当たり前のものだと認識されています。

★革新的なツールは、やがて生活者にとって当たり前のものとして浸透していきます。

 電子メールが一般の企業に普及するまでは、果たして投資対効果はどれほどのものかという議論が社内にあったわけです。今は、電子メール導入の投資対効果なんて議論の対象にすらなりません。ソーシャルメディアもそのように定着していくのは時間の問題だと思います。ソーシャルメディアは、企業に大きな売上をもたらすような「打ち出の小槌」というものではなく、あくまでツールの一つとして、人々の生活にとって当たり前の存在になっていくのだと思います。

(後編に続く)

後編では、企業やエンドユーザーが上手にソーシャルメディアを活用するにはどうしたらよいかを中心にお話をお伺いします。

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