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安田浩氏に聞く 「情報セキュリティの今までとこれから」 ―インターネット・リテラシーの本質とは―(前編)(2/2)

JPEGやMPEGを世界標準化した功績で、エミー賞を受賞

★先生は、JPEGやMPEGを世界標準化した功績で1996年に全世界の放送業界において最も権威と歴史のある賞、エミー賞の技術開発部門賞を受賞されたそうですが、世界標準化とはどのようなもので、ユーザーにはどんなメリットがあるのですか?

 標準化は何のために行うのか。まず、多くの人が使えるようにするということです。規格が違うと互換性がなくて、使えない。これは不便この上ないですからね。
 画像・映像技術で言えば、世界中どの国の、どのコンピュータでも画像や映像のやりとりができるということです。結果として市場が大きくなります。量産を可能にするのでコストを下げることができます。若い人は知らないかもしれませんが、かつてビデオの規格でVHSとベータの規格争いがありましたが、ユーザーに混乱を招く結果となりました。過度な技術競争は、ユーザー離れを引き起こしかねませんから。

安田氏

★NTT退社後、東京大学で教授となられましたが、それはどのような経緯からですか?

 NTTの研究所に25年勤めて、理事、所長になりました。その頃、大学から誘いを受けまして、1997年に駒場にある先端研(東京大学 先端科学技術研究センター)に教授として行きました。先端研は大学院大学で院生は少人数。研究がメインで授業もほとんどないのです。研究三昧の環境でした。とは言え、コンテンツとセキュリティを研究しようと始めたのですが、肝心の研究の予算は自分で稼がないといけませんでした(笑)。

★先生は、インターネット初期の頃からセキュリティ分野の発展にもご尽力されてきましたが、そのきっかけは何でしたか?

 画像を研究してどんどん深みにはまると、画像の著作権などをいかに保護するか。それがもう一つの重要な問題になってきました。セキュリティの一種である電子透かし(デジタル化された画像や音声データに、著作者の名前などの情報を埋め込む技術。埋め込んだ情報は特別な処理を行わないと表示されないため、電子透かしと呼ばれる。データの著作権の所在や改ざん場所を特定できるため、違法コピーや改ざんを防げる)、それが基本ですが、さらに暗号化なども覚えないといけません。しかし、暗号化だけがセキュリティではありません。PKI(公開鍵基盤Public Key Infrastructureの略で、公開鍵暗号の技術を用いて、ネットワーク上の主体が何者であるかを保証し、なりすましやデータの盗聴や改ざんを防ぎ、インターネット上で安全な通信を行うことができるようにするために構築されるシステムのこと)などといったものもある。では、覚えないと。一生懸命やっているうちに次第にセキュリティにも詳しくなっていきました。
 画像関連で著作権の問題に取り組んでいるうちにセキュリティの技術にまでたどり着いたのですね。それでセキュリティに詳しいと言われるようにまでなりました。

(後編に続く)

後編では、普段スマートフォンやSNSなどを利用する際にセキュリティ面で留意するポイントやその対応策など中心にお話をお伺いします。

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