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弁護士・猪木俊宏氏に聞く「法律実務から見るネットサービスのポイント」(前編)(3/3)


セキュリティに関するユーザー側のマインド向上が重要


猪木俊宏氏

★話をユーザー視点に移します。ユーザーがサービスを利用する際に、利用規約のこの部分は読んでおいた方がいいというか、注意すべきポイントはどういうことがありますか?

 基本的に、利用規約というのは、問題が起きたときの対応について定めているものですから、普通に利用する分には、それほど神経質になる必要はありません。ただ、注意したいのは、サービスを利用する際に、何をしたらだめなのか、何をしなければならないのかというのは、利用規約とは別のところに説明されていることがあるという点です。

★具体的にはどういうことでしょう。

 一例として「LINE」というサービスがありますが、これは、不正に複数アカウントを利用できないように、1つの端末につき1つのアカウントしか持つことができません。ですから、機種変更などで端末が変更されると、新しい端末にアカウントが自動的には引き継がれず、移行作業をしないとリセットされてしまいます。しかし、そのことは利用規約を読んでも書かれていないのですね。

★利用規約にはどんなことが定められているのですか?

 利用規約に書かれているのは、「誤ってアカウントを削除してしまってもアカウントの復旧はできません、お客様の責任です」といったことだけです。ですから、アカウント引き継ぎの方法については、利用規約とは別のところで説明されているので、利用者としては、あらかじめそれを読んでおく必要があるのです。

★ユーザー側のマインドアップというのは一つの課題ですね。

 そうですね。最近では、アプリ経由で個人情報を外部に漏えいさせてしまう事例などがありますが、これも、スマホのアプリをダウンロードする際に、よくわからないうちに利用規約に同意してしまい、「連絡先データにアクセスする」ことを許可してしまう、というのが実情ではないかと思います。最低でも、「ネットワーク通信」「個人情報」「電話/通話」への許可を要求してくるというのが、何を指しているかわかるくらいの知識を持っておく必要があるでしょう。

★「よくわからないときはアプリをインストールしない」という慎重な対応も必要ですね。

 はい。良くわからないでポチポチ押していると、守るべきものも守れなくなってしまいます。月並みではありますが、やはり日頃から情報のアンテナを張って、情報を収集して知識を高めることをしていく必要はあるでしょうね。

★最近では、本当にスマホの普及率が高まってきたと感じます。

 最近怖いのは、スマホの紛失、盗難だと思います。スマホがどこまで進化するかわかりませんが、少なくとも小さいコンピューターですから、端末には様々な個人情報が蓄積されています。メールやWebの履歴はもちろん、目覚まし時計を何時にセットしたかというような、ありとあらゆるライフログです。ですから、スマホをなくすと致命的なことになりかねません。最低でも端末にパスコードロックくらいはかけておきたいです。

★なるほど。スマホのセキュリティというのは今後、重要性を増していきますね。

 利便性が増せば増すほど、セキュリティの重要性は高まります。スマート家電など、スマホが色々なものと連携して、そのうち家や車の鍵やお財布の代わりになるかも知れません。利便性が高まるのはありがたいですが、クレジット情報など、あらゆる個人情報が端末内に一極集中してしまう状況というのは、少し怖い面もありますね。

★ネットと利用者という問題でいえば、ウィルスに感染して掲示板に犯行予告を書き込まされてしまうケースなど、ある日、ネットユーザーが犯罪者に仕立て上げられてしまう可能性が顕在化しました。

 ユーザーとして身を守るためには、ウィルス対策ソフトを利用することや、パターンファイルを最新の状態にするなどの基本的なウィルス対策をきちんとしましょうということに尽きます。出所の明らかでないフリーソフトなどの利用は避けなければなりません。ウィルスに感染すると、犯罪者にさせられる可能性があるということも踏まえて、慎重にネットを利用することが大切だと思います。

(後編に続く)

後編では、企業とネットコミュニケーションの問題を中心に、リスクマネジメントの観点からお話をお伺いします。

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