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安田浩氏に聞く 「情報セキュリティの今までとこれから」 ―インターネット・リテラシーの本質とは―(前編)(1/2)

 JPEGやMPEGの生みの親で、世界標準化に貢献された安田浩氏は、画像の研究とともに、情報セキュリティの分野の発展にも力を注がれています。今回のインタビュー前編では、インターネット黎明期から今日までに至る画像の研究と情報セキュリティへ取り組むきっかけなどをお話しいただきました。

安田氏

安田 浩(やすだ・ひろし)
東京電機大学教授 未来科学研究科委員長、未来科学部長
東京大学名誉教授 工学博士

1967年東京大学工学部電子工学科卒業、1972年同大学院博士課程修了。同年4月日本電信電話公社入社。NTT理事・情報通信研究所所長を経て、1997年東京大学教授、先端科学技術研究センター所属。2007年より東京電機大学教授。2011年4月より東京電機大学未来科学研究科委員長、未来科学部学部長に就任。高速通信網およびその応用、インターネットおよびその応用、画像処理・画像符号化・知的財産権保護技術の研究ならびに感性工学研究に取組中。

50年近く画像とセキュリティの研究に取り組んできた

★これまでの研究内容について教えてください。

 今まで50年近く、画像符号化・画像圧縮技術など画像の研究をしてきました。画像は情報量が多いので、情報の冗長な部分(データを転送する際に無駄に使われている部分)を除去して画像データのサイズをいかに小さくするか、これが情報量圧縮で、主にネットワーク上でデータの送受信の時間を短縮したり、パソコンのハードディスクなどの記憶装置に、より多くのデータを記録するために必要不可欠な技術です。
 みなさんの身近なところで言いますと、ホームページやデジタルカメラの標準的な圧縮方式として、よく利用されているJPEGという静止画符号化方式があります。また、映像や音声データの圧縮方式の一つであるMPEG、これは現在、デジタル放送やDVD、iPodなど多彩に利用されていますが、私はこれらの開発・普及を手がけてきました。

★画像の研究には、インターネットの急速な普及が影響しているのでしょうか?

 そうですね。ADSL回線や光回線などのブロードバンド(高速・大容量のデータ通信が可能な回線のこと)を活用したICT(Information and Communication Technology情報通信技術)が普及したことで、画像や映像など大容量のデータもインターネットでスムーズにやり取りができるようになりました。それに伴いセキュリティの重要度も高まりました。

安田氏


★画像やセキュリティのスペシャリストである先生は、小さい頃から勉強が得意だったのですか?

 小学生のときは、背が低くてクラスで前から1番目か2番目でした。体も弱かったので小学校2年生ぐらいまではあまり学校に行きませんでした。私は教育大附属大塚という学校(現筑波大学附属中学校・高等学校)に小学校・中学校・高校と通っていました。
 中学生になって、なんとか体を鍛えようと水泳部に入りました。中・高6年間水泳部の選手でした。最初はあまり速くありませんでしたが、高校3年の夏前にはフリースタイルで部で上から3番目になりました。
 私の通っていた高校ではその当時、東京大学に合格する生徒が、浪人を含めて毎年120人くらいいました。一学年220人ほどでしたから、そこそこの成績なら東京大学に行けるという感じでした。ですから高校生になっても勉強より水泳でしたね(笑)。ただし、東京大学の理系に入学したかったら、とにかく数学だけ点を取れば何とかなると聞いたので、「チャート式数学」という分厚い参考書で徹底的に勉強しました。それで数学は、図形も方程式も基本的には問題なく、ほぼ満点でした。

大の映画好き・演劇好きが、画像の研究へと向かわせた

★画像の研究を選ばれたのは、どのような動機からなのですか?

 大学のはじめの頃は映画ばかり見ていました。好きな監督は、黒沢明監督です。作品はほとんど持っています。好きな俳優はいろいろいますが、一人だけ挙げるならば、市川雷蔵ですね。その頃私は英語劇のサークルにも入っていまして、初舞台に立ったら、とても感動しました。こりゃやめられないぞと。でも、実際、舞台に立って人前で演技することを継続することは、大変だと思いました。
 元々照明みたいなスタッフワークも好きでしたから、俳優のように表舞台に立つよりも、大学で研究していることが何か役に立たないだろうか、と思うようになりました。大学では電子工学の道に進んでいたので、電子工学の中でも画像の研究で放送や通信の発展を支えればいいかなと。それで、電子工学の中の画像技術を研究するようになったのです。

★日本電信電話公社(現NTT)の研究所に入所されたのは、どのような理由からですか?

 画像をきちんと学ぼうと思ったら、やはり大学院へ行かなければなりません。その当時、たまたま猪瀬博(電子工学者。東京大学名誉教授)という文化勲章をもらった先生が画像研究をやられていて、大学院では猪瀬先生の研究室に入りました。
 マスター(大学院修士課程)を修了しましたが、マスターではまだ研究が足りません。それでドクター(博士課程)まで行きました。
 とにかく画像の研究はお金がかかります。大学で本格的な画像の研究はできないと思うようになりました。
 結局、大学院を出るときに猪瀬先生からの助言で、大勢研究員がいて研究環境が整っている日本電信電話公社(現NTT)の研究所に行くことにしました。

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