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携帯電話の使用と健康への影響について

携帯電話が発する電磁波が健康に悪影響を及ぼすのではないかという問題は、いわば“古くて新しい問題”と言えるが、つい最近も、携帯電話の使用と脳に与える可能性について、興味深い調査結果が報じられた。

携帯電話はやはり健康に悪影響か?--調査報告(CNET Japan)

記事によると、イスラエルのワイツマン科学研究所が発表した調査において、たとえ低レベルのものでも携帯電話が発する電波に脳がさらされた場合、脳細胞の分裂を妨げることで、ガンに関連する影響を脳に与える可能性があることが分かったという。

もちろん、これをもってただちに、携帯電話の利用とガンとの間に因果関係があることを結論づけるものではない。今回の調査では、特定の細胞が携帯電話の電磁波に反応することを示唆しているだけであると、上記記事でも述べている。

一方で、携帯電話の電磁波がガンを引き起こす可能性があるという調査結果が出たのは今回が初めてではない。


10年以上の使用で、脳腫瘍が2倍に!?

2004年10月にスウェーデンの医学研究機関である、カロリンスカ研究所が発表した調査結果によると、携帯電話を10年以上使用してきた人は、脳腫瘍の一種で良性の腫瘍ではあるが、耳鳴り、難聴、めまい、言語障害などの症状を引き起こす「聴神経鞘腫」の発生が、使ってない人のほぼ2倍になったという(→引用記事)。

この調査は、聴神経鞘腫の患者150人と健常者600人に聞き取り調査を行ったもので、利用期間10年未満のユーザーと、10年以上の使用歴のあるユーザーとでは、発生リスクに差が見られたということだ(10年未満のユーザーでは特に増加は見られなかった)。携帯電話を常に左耳か右耳の同じ側で使っている人は、発生リスクが4倍近くに高まるとも述べている。

この発表では、携帯電話の利用と聴神経鞘腫の発生との間に関連性があるというには、なお詳しい研究が必要であると結論づけているが、興味深い調査結果といえるだろう。


英国では「リスク上昇は認められず」

これに対し、2006年1月に英国の研究グループが発表したところによると、成人の中枢神経系の悪性腫瘍の中で高頻度に見られる「神経膠腫」の発生において、10年以上にわたって携帯電話を使用し、累積通話時間が113時間を超えていた人々でも、有意なリスク上昇は認められないとする研究結果を発表した(→引用記事)。

一般的にデジタル式よりも出力レベルの高いアナログ方式の携帯電話使用者に限定して同様の分析を行った場合でも、「デジタル方式とアナログ方式では差はなし」という結果だったという。

また、携帯電話と健康との因果関係についての調査の草分けは、英国放射線防護局(NRPB)という機関が2000年5月に発表した「スチュワート報告」であろう。

同機関は、放射線防護に関する情報提供と助言を行うもので、それによると、「健康に対する悪影響の証拠を発見できなかったものの、全く危険がないと結論づけるには、これまでの研究だけでは不十分」と指摘するものであった。

2005年に発表された同報告書のアップデート版でも「決定的証拠は見当たらないが、事実関係が明らかになるまでは注意深い利用が望ましい」という以前の報告書の結論を踏襲する報告をしている(→引用記事)。


解明に向けてはまだ研究途上

このように、携帯電話の使用や基地局のアンテナとの距離などが人体にどのような影響を及ぼすのかについては、未だ研究途上の段階といえる。1990年代半ばに本格普及した携帯電話だが、約10年が経過し、長期使用がどのような影響を及ぼすか、徐々に研究材料は揃いつつある。

もっとも、現時点では、携帯電話の使用と健康問題とを結びつけるような科学的根拠は提示されてはいないが、その一方で、携帯電話が100%安全であるという保証もないというのが定説のようだ。

今後、この分野で有益な研究結果が出てくることが期待される。


※携帯電話は、通信技術の強化や紛失に伴うリスクなど、いろいろな方面で、セキュリティ上重要な機器となっていますが、今回は、健康面へのリスクをご紹介しました。

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